図書館

 

開館時間

日曜日&水曜日: 午後1時~4時

木曜日:10時30分~午後2:30

 

***2024年度 図書館休館日***

3月 31日(日)イースター

5月19日(日)ビクトリア・デー

6月23日(日)ケベック・ナショナル・ホリデー

6月30日(日)カナダ・デー

9日 1日(日)労働感謝の日

10月13日(日)サンクスギビング・デー

***

貸出数:1回に本6

貸出期間:4週間

期限の延長: 期限までに返却できない場合は電話でご連絡ください。1回に限り延長できます。

罰金: 延滞金として本1日につき10セント、最高20ドル。

蔵書数:日本語の本:約10,000

英仏語の本:約600

日系文化会館会員証をご提示ください。

<2023年新着図書:図書館に届いた書籍の一部を紹介します>

豆の上で眠る』湊かなえ:小学校一年生の時、結衣子(ゆいこ)の二歳上の姉・万佑子(まゆこ)が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今もかすかな違和感を抱き続けている。――お姉ちゃん、あなたは本物なの? 辿り着いた真実に足元からくずおれる衝撃のミステリー。

『雲上雲下』朝井まかて:むかしのそのまた昔。深山の草原に、一本の名もなき草がいた。彼のもとに小生意気な子狐が現れ、「草どん」と呼んでお話をせがむ。山姥に、

団子ころころ、お経を読む猫、そして龍の子・小太郎。草どんが語る物語はやがて交錯し、雲上と雲下の世界がひずみ始める。――民話の主人公たちが笑い、苦悩し、闘う。不思議で懐かしいニッポンのファンタジー。

『笹の舟で海をわたる』角田光代:終戦から10年、主人公・左織(さおり)は22歳の時、銀座で女に声をかけられる。風美子(ふみこ)と名乗る女は、左織と疎開先が一緒だったという。風美子は、あの時皆でいじめた女の子?「仕返し」のために現れたのか。欲しいものは何でも手に入れるという風美子はやがて左織の「家族」となり、その存在が左織の日常をおびやかし始める。うしろめたい記憶に縛られたまま手に入れた「幸福な人生」の結末は――。激動の戦後を生き抜いた女たちの〈人生の真実〉に迫る角田文学の最新長編。

『モダンタイムス 上・下』伊坂幸太郎:恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。

『合唱 岬洋介の帰還』中山七里:幼稚園で幼児らを惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した“平成最悪の凶悪犯”仙街不比等。彼の担当検事になった天生は、刑法第39条によって仙街に無罪判決が下ることを恐れ、検事調べで仙街の殺意が立証できないかと苦慮する。しかし、取り調べ中に突如意識を失ってしまい、目を覚ましたとき、目の前には仙街の銃殺死体があった。指紋や硝煙反応が検出され、身に覚えのない殺害容疑で逮捕されてしまう天生。そんな彼を救うため、旧友・岬洋介が地球の裏側から急遽駆けつける。

『マチネの終わりに』平野啓一郎:天才ギタリスト・蒔野聡史、国際ジャーナリスト・小峰洋子。四十代という〝人生の暗い森〟を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死など、現代的テーマが重層的に描かれる。最終ページを閉じるのが惜しい、至高の読書体験。第2回渡辺淳一文学賞受賞作。

一橋桐子の犯罪日記』原田ひ香:人に迷惑かけない老後を送るためには、どう生きればいい? 老親の面倒を見てきてた桐子は、気づけばたったひとり、76歳になっていた。両親をおくり、わずかな年金と清掃のパートで細々と暮らしているが、貯金はない。同居していた親友のトモは病気で先に逝ってしまった。唯一の家族であり親友だったのに……。このままだと孤独死して人に迷惑をかけてしまう。絶望を抱えながら過ごしていたある日、テレビで驚きの映像が目に入る。収容された高齢受刑者が、刑務所で介護されている姿を。これだ! 光明を見出した桐子は、「長く刑務所に入っていられる犯罪」を模索し始める。

『老害の人』内館牧子:迷惑なの! と言われても。昔話に説教、趣味の講釈、病気自慢に孫自慢。そうかと思えば、無気力、そしてクレーマー。双六やカルタの製作販売会社・雀躍堂の前社長・戸山福太郎は、娘婿に社長を譲ってからも現役に固執して出勤し、誰彼かまわず捕まえては同じ手柄話をくり返す。彼の仲間も老害の人ばかり。素人俳句に下手な絵をそえた句集を配る吉田夫妻に、「死にたい死にたい」と言い続ける春子など、老害五重奏(クインテット)は絶好調。「もうやめてよッ」福太郎の娘・明代はある日、たまりかねて腹の中をぶちまけた。

『今度生まれたら』内館牧子:70歳になった佐川夏江は、夫の寝顔を見ながらつぶやいた。「今度生まれたら、この人とは結婚しない」夫はエリートサラリーマンだったが、退職後は「蟻んこクラブ」という歩く会で楽しく余生を過ごしている。2人の息子は独立して、別々の道を歩んでいる。でも、実は娘がほしかった。自分の人生を振り返ると、節目々々で下してきた選択は本当にこれでよかったのか。進学は、仕事は、それぞれ別の道があったのではないか。やり直しのきかない年齢になって、夏江はそれでもやりたいことを始めようとあがく。

あの絵のまえで』原田マハ:「絶対、あきらめないで。待ってるからね。ずっと、ずっと」。美術館で受け取ったのは、亡き祖母からのメッセージ――。作家志望でライターの亜衣は、忙しさを言い訳に遠ざけていた祖母を突然喪ってしまう。後悔と孤独に苛まれる亜衣を救ったのは、お節介な年上の隣人だった(「豊饒」)。傷ついても再び立ち上がる勇気を得る極上の美術小説集。

『生命の暗号』村上和雄:遺伝子研究の世界的大家が一般向けに書いた、遺伝子の働きに関する解説書。
 我々人類が持っている膨大な遺伝子情報の内、実際に使われているのは5~10%程度で、残りは眠っているが、環境によって目覚める(スイッチがONになる)ことがあるという。この遺伝子のオンオフを調整する調整遺伝子なるものが存在することが証明されている。遺伝子は体を自動的にコントロールしているホルモン系・自律神経系を支配しており、その自律神経は精神に影響されるので、精神は遺伝子の働きにも影響

『ローカル線で行こう』真保裕一:廃線間際の赤字ローカル線。その未来を託されたのは新幹線の若きカリスマ・アテンダント。読めば元気が出る痛快鉄道再生ミステリー!

『いとみち 二の糸』越谷オサム: 高二も三味線片手にメイド喫茶で奮闘。友達と初ケンカ、まさかの初恋?ヘタレ主人公ゆるりと成長中。純情青春小説第二弾☆

『街とその不確かな壁』村上春樹:その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。

『汝、星のごとく』凪良ゆう:風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

『家族の言い訳』森浩美: 家族に悩まされ、家族に助けられる。誰の人生だってたくさん痛み、苦しみ、そして喜びに溢れている。作詞家森浩美がその筆才を小説に振るい、リアルな設定の上に「大人の純粋さ」を浮かび上がらせた。「ホタルの熱」「おかあちゃんの口紅」はラジオドラマや入試問題にもなった出色の感動作。あなたのなかの「いい人」にきっと出会える、まっすぐな人生小説。

『日本人の国際結婚 カナダからの報告』サンダース宮松敬子: 多民族が暮らす多文化主義の国カナダで、自身も国際結婚をしている著者が、国際結婚カップルにアンケート調査!恋愛から結婚、仕事、子育て、親との関係、離婚など、体験者たちが語るそれぞれの国際結婚から浮かぶ現実とは。

『望郷』森遥子: 英国に生まれ育ったリタ。初恋の人を失い、失意の底にいた彼女はモルトウイスキーの製法を学びにきた竹鶴政孝と運命的に出逢う。極東の日本で政孝の生涯を献身的に支え続けたリタの心のよりどころとは――。

『少年と犬』馳星周: 傷つき、悩む人びとに寄り添う、一匹の犬がいた。東日本大震災で飼い主と別離した犬の「多聞」がさまざまな人々との出会いと別れを繰り返しながら、東から西へと旅する物語。

『ラジオ・ガガガ』原田ひ香: 嬉しい時も、悲しい時も、いつもラジオが傍にいてくれた。夢破れ、逃げる旅路の果てで聴いた「オードリーのオールナイトニッポン」。ケアハウスで暮らすラジオ歴35年の老女は、今夜も「深夜の馬鹿力」に胸をときめかす。などなど、実在する人気ラジオ番組に耳を傾ける人々の姿を描く珠玉の連作5篇。

『みみずくは黄昏に飛びたつ』村上春樹/川上未映子: 少年期の記憶、意識と無意識、「地下二階」に降りること、フェミニズム、世界的名声、比喩や文体、日々の創作の秘密、そして死後のこと……。初期エッセイから最新長編まで、すべての作品と資料を精読した川上未映子が「村上春樹」の最深部に鋭く迫る、ロングインタビュー

『白いへび眠る島』三浦しをん:高校生の悟史が夏休みに帰省した拝島は、今も古い因習が残る。十三年ぶりの大祭でにぎわう島である噂が起こる。(あれ)が出たと……悟史は幼なじみの光市と噂の真相を探るが、やがて意外な展開に!

『希望ヶ丘の人びと 上・下』重松清: 私は中学生の娘・美嘉と小学生の息子・亮太とともに、二年前に亡くなった妻のふるさと「希望ヶ丘」に戻ってきた。ここから再出発だ--そう思って開いた塾には生徒が集まらず、亮太は亡き母の思い出を探し続け、美嘉は学校になじめない。昔の妻を知る人びとが住むこのニュータウンに、希望はあるのだろうか?

『森に眠る魚』角田光代:都内文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して互いに心を許しあう彼女たちだったが、その関係性は徐々に変容してゆく。引き金となったのは小学校受験なのか、それとももっと他の何かなのか。――あの子さえいなければ。私さえいなければ。5人のせめぎあう感情が胸にひりひりと迫る、著者母子小説の衝撃作!

『風の中のマリア』百田尚樹: 命はわずか30日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続ける。ある日出逢ったオスバチから告げられた自らの宿命。永遠に続くと思われた帝国に影が射し始める。

『古本食堂』原田ひ香: 東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。妹が帯広から単身上京して、古書店を相続する。カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語。

<2022年度 新着書籍>

新着図書:『めだか、太平洋を往け』重松清:小学校教師を引退した夜、息子夫婦を事故で失ったアンミツ先生。遺された血縁のない孫・翔也との生活に戸惑うなか、かつての教え子たちへこんな手紙を送る。〈先生はみんなに「太平洋を泳ぐめだかになりなさい」と言いました。でも、ほんとうに正しかったのでしょうか〉。返事をくれた二人を翔也と共に訪ねると――。じんわり胸が温まる感動長篇。

『丘の上の賢人』原田マハ:売れないタレント・おかえりこと丘えりかは、依頼人に代わり旅をする「旅の代理人」。秋田での初仕事を終え、次なる旅先は北海道──ある動画に映っている人物が、かつての恋人か確かめてほしいという依頼だった。依頼人には、初恋を巡るほろ苦い過去があって……。『旅屋おかえり』未収録の、幻の札幌・小樽編が待望の書籍化。北海道旅エッセイ&おかえりデビュー前夜を描いた漫画も収録した特別編

『手入れという思想』養老孟司:人間が手入れした自然にこそ豊かな生命が宿る。お化粧も子育ても同じで毎日毎日手入れをする。どういうつもりでどこにもっていくのかはわからなくても、そうやってきたのが私たち日本人の生き方の特徴だ。我が国独自の思想をはじめ、子育てや教育、都市化の未来、死ぬということ、心とからだについてなど、現代日本社会を説いた八つの名講演を収録。

『ペスト』カミュ:アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。

『野良犬の値段』百田尚樹:突如としてネット上に現れた謎の[誘拐サイト]。「私たちたちが誘拐したのは以下の人物です」という文言とともにサイトに公開されたのは、6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に[誘拐サイト]は驚くべき相手に身代金を要求する。

『世界史の中から考える』高坂正堯:世界史を繙くと、そこには「現代」の相似形がひしめいている。バブル処理も、民族問題解決の糸口も、難問を解く鍵はすべて「過去」の中にある。

『名著で読む日本史』渡部昇一:日本史の「美しい虹」を見るために、古代から現代まで厳選した名著16冊。「国史の真髄とは何か」が解る1冊!

うつくしが丘の不幸の家町田そのこ:築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』だって呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われるまでは――。わたしが不幸かどうかを決めるのは、他人ではない。『不幸の家』で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族をふっくらと描く、傑作連作小説。

『死刑にいたる病』櫛木理宇:鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」パン屋の元店主にして自分のよき理解者だった大和に頼まれ、事件を再調査する雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていく。一つ一つの選択が明らかにする残酷な真実とは。

『おんなのいない男たち』村上春樹:「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」「女のいない男たち」の6編はそれぞれくっきりとしたストーリー・ラインを持ちながら、その筆致は人間存在の微細な機微に触れる。
現代最高の作家がいまできること、したいこと、するべきことを完璧な形で成し遂げた作品集。

図書館の神様瀬尾まいこ:主人公は、清く正しい青春をバレーボールに捧げてきた、その名も清(きよ)。あることがきっかけで、夢をあきらめて教師になるべく、海の見える中学校に赴任する(教員採用試験に受かっておらず、臨時雇いではあるが)。そこで、思いがけず文芸部の顧問となった清に訪れた変化とは……。「卵の緒」で坊っちゃん文学賞を受賞した瀬尾まいこの、デビュー第2作。大幅にファンを増やした評判作の、待望の文庫化。単行本未収録の幻の短篇「雲行き」も収録

イマジン?有川ひろ:「朝五時。渋谷、宮益坂上」。 その9文字が、良井良助の人生を劇的に変えた。飛び込んだのは映像業界。物語と現実を繫げる魔法の世界にして、ありとあらゆる困難が押し寄せるシビアな現場。だがそこにいたのは、どんなトラブルも無理難題も、情熱×想像力で解決するプロフェッショナル達だった! 有川ひろが紡ぐ、底抜けにパワフルなお仕事小説「朝五時。渋谷、宮益坂上」。 その9文字が、良井良助の人生を劇的に変えた。飛び込んだのは映像業界。物語と現実を繫げる魔法の世界にして、ありとあらゆる困難が押し寄せるシビアな現場。だがそこにいたのは、どんなトラブルも無理難題も、情熱×想像力で解決するプロフェッショナル達だった! 有川ひろが紡ぐ、底抜けにパワフルなお仕事小説

かたづの!中島京子:柴田錬三郎賞、歴史時代作家クラブ賞作品賞、河合隼雄物語賞の3冠を受賞し、王様のブランチブックアワード2014の大賞にもなった話題作の文庫化。実在した南部八戸の女大名の一代記。(解説/池上冬樹柴田錬三郎賞、歴史時代作家クラブ賞作品賞、河合隼雄物語賞の3冠を受賞し、王様のブランチブックアワード2014の大賞にもなった話題作の文庫化。

『シャイロックの子供たち』池井戸潤:現金が足りないんです」。銀行の支店で起こった現金紛失事件。捜索の結果、当日の日付の入った札束の帯封が女子行員のショルダーバッグの中から発見され、疑いがかかる。女子行員は盗ったことを否定し、ミスを隠したい銀行は支店長らが金を出し合って補填をすることに。そのうち、別の男性行員が失踪。
東京第一銀行長原支店――中小企業や町工場がひしめき合う場所に立地し、それらの顧客を主な取引先とする銀行を舞台に、〝たたき上げ〟の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績……事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤を描く。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。

『かけら』青山七恵:家族全員で出かけるはずだった日帰りのさくらんぼ狩りツアーに、ふとしたことから父と二人で行くことになった桐子。口数が少なく、「ただのお父さん」だったはずの父の、意外な顔を目にする(表題作)。結婚を前に、元彼女との思い出にとらわれる男を描く「欅の部屋」、新婚家庭に泊まりに来た高校生のいとこに翻弄される女性の生活を俯瞰した「山猫」。川端賞受賞の表題作を含む短編集。

『夢をかなえるゾウ 3』水野敬也:仕事も恋もあきらめきれない女性社員の部屋に、ガネーシャが降臨。彼女の部屋に降臨したガネーシャは、筋肉隆々のブラック姿に変身! カーネルサンダースを白髪にし、ムンクを叫ばせるほどにスパイシーな教えとは? しかも今回はガネーシャのライバルまで登場して史上最大のピンチに! 自己改革エンタメ小説、第3弾!

『すべての神様の10月 2』小路幸也:死神、九十九神、福の神…… 現代社会に溶け込むように存在している八百万の神々と、人間達とのちょっと不思議なふれあいを描いた、切なくも心温まる連作短篇シリーズ第二弾

<2021年度 新着書籍紹介>

『倒産続きの彼女』新川帆立:彼女が転職するたび、その企業は必ず倒産する――調査を進める弁護士の美馬玉子と剣持麗子は予想外の事件に巻き込まれてしまう。

『元彼の遺言状』新川帆立:「僕 の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・ 森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と3か月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、森川家の主催する「犯人選考会」に参加することになったが。。。

『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』佐藤愛子:タイトルは、1969年に発売され直木賞受賞作となった小説『戦いすんで日が暮れて』の本歌取り。夫が作った莫大な借金をひとり背負い込んで奮闘する妻の姿を活写し、著者が世に出るきっかけになった代表作のひとつ。それから52年、自身の最後となる本エッセイ集のタイトルに『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』と付けたのは、借金は返済したけれど、人生の戦いはやまず、今も日も暮れていない――。97年を生きて来た人生の実感。抱腹絶倒のエッセイ全21編。

『ことことこーこ』阿川佐和子:まだまだ仕事がしたいのに……もう介護!? アラフォー長女の奮闘記。離婚して老父母の暮らす実家に戻った香子。専業主婦を卒業し、フードコーディネーターとしての新たな人生を歩み出した矢先、母・琴子に認知症の症状が表れはじめる。弟夫婦は頼りにならず、仕事も介護も失敗つづき。琴子の昔の料理ノートにヒントをもらい、ようやく手応えを感じた仕事の帰り道、弟から「母さんが見つからない」と連絡があり……。年とともに変わりゆく親子の関係を、ユーモアと人情たっぷりに描き出す長編小説。

『自分を好きになる方法』本谷有希子:16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。

『武器としての理系思考』武田邦彦:マスコミ、官僚、政治家、専門家……「既得権益者」のウソを看破せよ! 新型コロナから先の大戦まで日本の諸問題を徹底検証。「科学者の視点、論理的な思考力」が身につく!

『メリーゴーランド』荻原浩:過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。毎日は平穏無事……とは大違い、あの超赤字テーマパーク再建のため平凡なパパの孤軍奮闘。笑って怒って、時々しんみり。

『青空と逃げる』辻村深月:深夜、夫が交通事故に遭った。病院に駆けつけた早苗と息子の力は、そこで彼が誰の運転する車に乗っていたかを知らされる……。夫は何も語らぬまま、知らぬ間に退院し失踪。残された早苗と力に悪意と追及が押し寄せ、追い詰められた二人は東京を飛び出した。高知、兵庫、大分、仙台――。壊れてしまった家族がたどりつく場所は。

『おやすみラフマニノフ』中山七里:『さよならドビュッシー』の続編! 秋の演奏会を控え、第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに、プロへの切符をつかむために練習に励む。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり……。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実! 美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。

『鹿男あをによし』万城目学:大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声の鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ―出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは?古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。

『どこかでベートーヴェン』中山七里:岐阜県立加茂北高校音楽科の面々は、9月に行われる発表会に向け、夏休みも校内での練習に励んでいた。そんな中、豪雨によって土砂崩れが発生し、一同は校内に閉じ込められてしまう。そこでクラスの問題児・岩倉が何者かに殺害されてしまう。
警察に疑いをかけられた岬洋介は自らの嫌疑を晴らすため、素人探偵さながら、独自に調査を開始する。

『海馬の尻尾』荻原浩:2度目の原発事故でどん底に落ちた社会――。3年前に懲役を終えたばかりの及川頼也は、若頭に「アル中を治せ」と命じられ、とある大学病院の精神科を訪れる。検査によると、及川の脳には「良心がない」のだという。医者らを拒絶する及川だが、ウィリアムズ症候群の少女が懐くようになり……。人間の脳は変われるのか。ハードボイルドの筆致で描く、脳科学サスペンス!

『桃ノ木坂互助会』川瀬七緒:厄介事を起こすのは、いつだってよそ者だ。七十歳の光太郎は憤慨していた。われわれが町を守らなくては――。そこで互助会の仲間たちと手を組み、トラブルを起こす危険人物を町から追い出し始める。その手段はなんと嫌がらせ!? 老人だからこそできる奇想天外な作戦はなかなか好調に思えたが……。大家と揉めていた男を次なるターゲットに決めたことから、事態は思わぬ方向へと動き始める。

MAIS QU’EST-CE QUE JE FAIS LA?Rianne Obata : 『なにやってんだろう私』フランス語版。26歳で渡仏。美術学校と語学学校とアルバイトの毎日に現れた人は、背の高い王子様(?)。妻、嫁、母として、さらに修士課程の学生、店員、日本語講師、日本人会の世話役として駆け抜けてきた40年近い歳月を、今、独りになって振り返る自分史エッセイ。義母や義姉、娘をはじめ、強気な「フランス人気質」に対抗する波乱の日常を小気味よい筆致で描く。

『あなたの体は9割が細菌・微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン:肥満も、アレルギーも、うつ病も、微生物の問題だった!ヒトの腸内には100兆個もの微生物がいる!最新の「ヒトマイクロバイオーム・プロジェクト」の成果を踏まえて警鐘を鳴らす、世界19カ国で刊行のベストセラー!

『ランチのアッコちゃん』柚木麻子:地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。

『いつまでもショパン』中山七里:難聴を患いながらも、世界的なピアノコンクール「ショパン・コンクール」に出場するため、ポーランドに向かったピアニスト・岬洋介。しかし、ショパン・コンクールの会場で殺人事件が発生。遺体は手の指10本がすべて切り取られるという奇怪なものだった。岬は鋭い洞察力で殺害現場を検証していく!

GHQ作成の情報操作書』櫻井よしこ:これは一体「真相」か「洗脳」か!? 敗戦後、GHQ占領政策の一環として制作されたラジオ番組「眞相箱」。歴史の真実に巧妙に虚偽を散りばめながら日本の“犯罪”を日本のお茶の間に告発し続け、“帝国主義の悪が民主主義の正義に屈した”という観念を植え付けた。本書は「眞相箱」を採録した貴重な本を復刻し、GHQの巧妙な操作を櫻井よしこ氏が詳細に解析する。戦後日本人の歴史観を紐解き、戦争とは何か、日本人はどうあるべきかを問う問題作。戦後日本人の歴史観はこうして歪められた! 

『男性論』ヤマザキマリ:古代ローマ、あるいはルネサンス、先進的な文明、そして数々の芸術作品を生んだエネルギッシュな時代には、いつも知的好奇心あふれる熱き男たちがいた――。
ハドリアヌス、プリニウス、フェデリーコ2世(フリードリヒ2世)、ラファエロ、そしてスティーブ・ジョブズ、安部公房まで。確かな技術と壮大な空想力で時代の一歩先を読み、新たな次元を切り拓いた古今東西のボーダレスな男たちを軸に、『テルマエ・ロマエ』の作者・ヤマザキマリが語る想像力の在り処。

『待場の共同体論』内田樹:崩壊に向かう日本と、思考停止の日本人。それでも今、自分にできることから始めてみる―。

『マエストロ』篠田節子:ロイヤルダイヤモンドの広告塔としてコンサートを行う美貌のヴァイオリニスト・神野瑞恵。ところが使っている名器グァルネリの調子が悪くなり、楽器商・マイヤー商会の柄沢の勧めで称号なきマイスターと呼ばれる保坂を訪ねる。そこで素性はわからないが、すばらしい音色を奏でるヴァイオリンに出会い―。演奏は一流半と評されていた瑞恵が陥った罠と彼女の力強い再生を鮮やかに描いた長編サスペンス

『弥勒』篠田節子:ヒマラヤの小国に潜入した男は革命軍に捕まり、絶望的な窮地に!ヒマラヤの小国・パスキムは、独自の仏教美術に彩られた美しい王国だ。新聞社社員・永岡英彰は、政変で国交を断絶したパスキムに単身で潜入を試みるが、そこで目にしたものは虐殺された僧侶たちの姿だった。そして永岡も革命軍に捕らわれ、想像を絶する生活が始まった。救いとは何かを問う渾身の超大作。

『蟻の菜園』柚月裕子:婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして、殺人容疑がかかる円藤冬香。
しかし冬香には鉄壁のアリバイがあり、共犯者の影も見当たらなかった。
並外れた美貌をもつ冬香の人生と犯行動機に興味を抱いた週刊誌ライターの由美は、
大手メディアを向こうに回して事件を追いはじめる。
数奇な運命を辿る美女の過去を追って、由美は千葉・房総から福井・東尋坊へ――。

『一刀斎夢録 上・下』浅田次郎:最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長・斎藤一(さいとう・はじめ)。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ。『壬生義士伝(みぶぎしでん)』『輪違屋糸里(わちがいやいとさと)』に続く、浅田版「新選組」3部作完結篇!

『サロメ』原田マハ:現代のロンドン。日本からビクトリア・アルバート美術館に派遣されている客員学芸員の甲斐祐也は、ロンドン大学のジェーン・マクノイアから、未発表版「サロメ」についての相談を受ける。このオスカー・ワイルドの戯曲は、そのセンセーショナルな内容もさることながら、ある一人の画家を世に送り出したことでも有名だ。彼の名は、オーブリー・ビアズリー。

『幻庵 上・中・下』百田尚樹:武家の三男坊が囲碁に抱いた見果てぬ夢。史上最強の名人になる。武家の三男坊が囲碁に抱いた見果てぬ夢。
史上最強の名人になる。己は負けたのか。だが――運命に翻弄される晩年。最後の対決、そして次世代の天才の台頭。敗れざる男の物語、堂々完結。

『夏の騎士』百田尚樹:勇気――それは人生を切り拓く剣だ。 あれから31年の歳月が流れたが、ぼくが今もどうにか人生の荒波を渡っていけるのは、あの頃手に入れた勇気のおかげかもしれない。 昭和最後の夏に経験した、少女殺害の謎をめぐる冒険、友情、そして小さな恋。 稀代のストーリーテラーが書き下ろした百田版「スタンド・バイ・ミー」

『きいろいぞう』西加奈子:夫の名は武辜歩、妻の名は妻利愛子。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会の若夫婦が、田舎にやってきたところから物語は始まる。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりと進んでいくが、ある冬の日、ムコはツマを残して東京へと向かう。それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった―。

『最高のオバハン』林真理子:中島ハルコ、52歳。本音で生きる会社経営者。金持ちなのにドケチで、口の悪さは天下一品。嫌われても仕方がないほど自分勝手な性格なのに、なぜか悩み事を抱えた人間が寄ってくる。高学歴ゆえに結婚できない、不倫相手がお金を返してくれないといった相談を、歯に衣着せぬ物言いで鮮やかに解決していく痛快エンタテインメント!

『天皇の国史』竹田常泰: 日本の歴史を紐解いていくと、歴史を貫く一本の線があることに気付く。それが「天皇」である。天皇は日本人の歴史そのもの、といってよい。
しかし、これまで通史といえば、目まぐるしく交代する権力者を中心とした政治史が一般的だった。本書はそれとは異なり、二千年来変わることがなかった天皇を軸として、国史を取り纏めたものである。故に主題を『天皇の国史』としている。

『鹿男あをによし』万城目学:大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声の鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ―出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは?古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。

『どこかでベートーヴェン』中山七里:岐阜県立加茂北高校音楽科の面々は、9月に行われる発表会に向け、夏休みも校内での練習に励んでいた。そんな中、豪雨によって土砂崩れが発生し、一同は校内に閉じ込められてしまう。そこでクラスの問題児・岩倉が何者かに殺害されてしまう。
警察に疑いをかけられた岬洋介は自らの嫌疑を晴らすため、素人探偵さながら、独自に調査を開始する。

『海馬の尻尾』荻原浩:2度目の原発事故でどん底に落ちた社会――。3年前に懲役を終えたばかりの及川頼也は、若頭に「アル中を治せ」と命じられ、とある大学病院の精神科を訪れる。検査によると、及川の脳には「良心がない」のだという。医者らを拒絶する及川だが、ウィリアムズ症候群の少女が懐くようになり……。人間の脳は変われるのか。ハードボイルドの筆致で描く、脳科学サスペンス! 

<2020年度 新着書籍>

『まぐだら屋のマリア』原田マハ:東京・神楽坂の老舗料亭「吟遊」で修業をしていた紫紋は、料亭で起こった偽装事件を機にすべてを失った。料理人としての夢、大切な仲間。そして、後輩・悠太の自殺。逃げ出した紫紋は、人生の終わりの地を求めて彷徨い、尽果というバス停に降り立った…。過去に傷がある優しい人々、心が喜ぶ料理に癒され、紫紋はどん底から生き直す勇気を得る。

『ヴァラエティ』奥田英朗:「退社して独立」を上司に告げた日の夜、帰宅して妻がしていたこととは?
A. 荷造り、B. エクササイズ、C. 廊下のワックスがけ

『ひなた』吉田修一:新堂レイは有名ブランドHに就職したばかりの新人広報。彼女は、海で偶然再会した同級生の大路尚純と昨年夏から付き合っている。尚純は大学生。彼が両親と暮らす文京区小日向の家で、兄夫婦が同居をし始めた―。それぞれが関わり合って淡々とした日常を紡ぎだす。お互いに踏み込むことのできない「聖跡」を抱えながらも―。四人の視点で「春夏秋冬」を描き出す。

『新聞という病』門田隆将: 司馬遼太郎氏が書いた“老記者”から、「権力の監視」を大仰に謳う記者へ。なにが変わったのか。「事実より観念論」の恐ろしさを浮き彫りにする。平成の“押し売り”報道全記録。生き残る情報、死ぬ報道を喝破する。新聞が書かない「論点」を収録。知りたい情報はここにある。

『東京會舘とわたし 上・下』辻村深月:大正十一年、社交の殿堂として丸の内に創業。
結婚式やパーティ、記者会見などで訪れる人々の数だけ物語を紡いできた。震災や空襲、GHQの接収などの荒波を経て、激動の昭和を見続けた建物の物語。

i アイ』西加奈子:アメリカ人の父と日本人の母のもとへ、養子としてやってきたアイ。内戦、テロ、地震、貧困……世界には悲しいニュースがあふれている。なのに、自分は恵まれた生活を送っている。そのことを思うと、アイはなんだか苦しくなるが、どうしたらいいかわからない。けれど、やがてアイは、親友と出会い、愛する人と家族になり、ひとりの女性として自らの手で扉を開ける

『名画の謎 陰謀の歴史篇』中野京子:『怖い絵』シリーズ著者の絵画エッセイ。シリーズ3作目となる「陰謀の歴史篇」では、フェルメール、ラファエロ、ゴヤ、ブリューゲルといった時代を代表する画家たちが残した名画の数々を読み解く。

『山下美典のミニ俳句教室 一・二』:俳句と日本語に興味のある方はぜひ一読を。

『妻のトリセツ』黒川伊保子:理不尽な妻との上手な付き合い方とは。女性脳の仕組みを知って戦略を立てよう!

『百年の散歩』多和田葉子:豆のスープをかき混ぜてもの思いに遊ぶ黒い〈奇異茶店〉。サングラスの表面が湖の碧さで世界を映す眼鏡屋。看板文字の「白薔薇」が導くレジスタンス劇。カント、マルクス、マヤコフスキー。ベルリンを幾筋も走る、偉人の名をもつ通りを、あの人に会うため異邦人のわたしは歩く。多言語の不思議な響きと、歴史の暗がりから届く声に耳を澄ましながら。うつろう景色に夢想を重ね、街を漂う物語。

『この世を生き切る醍醐味』樹木希林:人生、上出来でございました」世を去る半年前、7時間に及ぶ最後のロングインタビューを全収録。この浮世をぞんざいに生き切る覚悟。あらゆる出会いや運命に感謝する心のもちよう。病や死すらおもしろがる透徹した視点。樹木希林さんの言葉一つひとつがお手本だ。

『月の満ち欠け』佐藤正午:あたしは,月のように死んで,生まれ変わる――この七歳の娘が,いまは亡き我が子? いまは亡き妻? いまは亡き恋人? そうでないなら,はたしてこの子は何者なのか? 三人の男と一人の女の,三十余年におよぶ人生,その過ぎし日々が交錯し,幾重にも織り込まれてゆく,この数奇なる愛の軌跡

『怒り 上・下』吉田修一:整形した殺人犯・山神はどこに? 房総の港町で暮らす愛子、東京で広告の仕事をする優馬、沖縄の離島へ引越した泉の前に、それぞれ前歴不詳の男が現れる。

『九十八歳になった私』橋本治「一体今日は、いつなんだろう?もうすぐ九十八だ。多分」ゆとり世代(もう五十だけど)の編集者に「戦後百一年」なんて原稿頼まれたり、ボランティアのバーさんが紅白饅頭持ってきたり。東京大震災を生き延びた独居老人の「私」が、老境の神髄を愉快にボヤく、人生賛歌の物語。ああ、年を取るのはめんどくさい!

『食禅、心と体をととのえる「ごはん」の食べ方』柿沼忍昭:この「食べ方」「作り方」で今日一日がもっと豊かになる。まず、感謝して。そして、丁寧に。

『横道世之介』吉田修一:大学進学のため長崎から上京した横道世之介18歳。愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、様々な出会いと笑いを引き寄せる。友の結婚に出産、学園祭のサンバ行進、お嬢様との恋愛、カメラとの出会い…。誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。

AX アックス』伊坂幸太郎:「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐために仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。物語の新たな可能性を切り拓いた、エンタテインメント小説の最高峰!

『怖い絵 死と乙女篇』中野京子:全身にみなぎる憤怒と威厳、「皇女ソフィア」―凄絶な姉弟喧嘩の末に、権力を握ったのは?甘やかな香りが漂う、ボッティチェリの最高傑作、「ヴィーナスの誕生」―美の背後に秘められた、血なまぐさい出生の物語とは?自らを死神になぞらえた、「死と乙女」―実際に画家とモデルを襲ったその後の運命は?名画に秘められた人間心理の深層を鋭く読み解く22の物語。

『死の淵を見た男/吉田昌郎と福島第一原発』:門田隆将2011年3月、日本は「死の淵」に立った。福島県浜通りを襲った大津波は、福島第一原発の原子炉を暴走させた。全電源喪失、注水不能、放射線量増加…このままでは故郷・福島が壊滅し、日本が「三分割」されるという中で、使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した男たちがいた。あの時、何が起き、何を思い、人々はどう闘ったのか。ヴェールに包まれた未曾有の大事故を当事者たちの実名で綴る。

『花桃実桃』中島京子:43歳シングル女子、まさかの転機に直面す―会社勤めを辞め、茜は大家になった。父の遺産を受け継いだのである。昭和の香り漂うアパート「花桃館」で、へんてこな住人に面くらう日々が始まって…。若くはないが老いてもいない。先行きは見通せずとも、進む方向を選ぶ自由がある。人生の折り返し地点の惑いと諦観を、著者ならではのユーモアに包んで描く長編小説。

『たゆたえども沈まず』原田マハ:19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホと、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇跡の出会いが“世界を変える一枚”を生んだ。読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。

『氷菓』米澤穂信:いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリー。

『冷蔵庫を抱きしめて』荻原浩:あ、ダメ、ダメだってわかっているのに、どうして同じことを―。あなたの心、解放します。現代人のライトだけど軽くはない心の病気に、シニカルに真剣に迫る短編集。

『太陽は動かない』吉田修一:油田開発利権争いの渦中で起きた射殺事件。産業スパイ組織AN通信の鷹野一彦は、部下の田岡とその背後関係を探っていた。目的は機密情報を入手し高値で売り飛ばすこと。商売敵のデイビッドと謎の美女AYAKOが暗躍し、ウイグル過激派による爆破計画の噂もあるなか、田岡が何者かに拉致された。息詰まる情報戦の末に、巨万の富を得るのは誰か?産業スパイ“鷹野一彦”シリーズ第1弾!

『この世の春 ㊤㊥㊦』宮部みゆき:ごめんくださいまし──。宝永七年の初夏、下野北見藩・元作事方組頭の家に声が響いた。応対した各務多紀は、女が連れていた赤子に驚愕する。それは藩内で権勢をほしいままにする御用人頭・伊東成孝の嫡男であった。なぜ、一介の上士に過ぎない父が頼られたのか。藩中枢で何が起きているのか。一夜の出来事はやがて、北関東の小国を揺るがす大事件へと発展していく。作家生活三十周年記念作。

『ようこそ、わが家へ』池井戸潤:真面目なだけが取り柄の会社員・倉田太一は、ある夏の日、駅のホームで割り込み男を注意した。すると、その日から倉田家に対する嫌がらせが相次ぐようになる。花壇は踏み荒らされ、郵便ポストには瀕死のネコが投げ込まれた。さらに、車は傷つけられ、部屋からは盗聴器まで見つかった。執拗に続く攻撃から穏やかな日常を取り戻すべく、一家はストーカーとの対決を決意する。

『幻夏』太田愛:「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか――少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。流木に不思議な印を残して……。少年はどこに消えたのか? 印の意味は? やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。司法の信を問う傑作ミステリー。

『永遠をさがしに』原田マハ:「聞こえる? お母さん。これが、あたしの音――」
世界的な指揮者の父とふたりで暮らす、和音16歳。そこへ型破りな“新しい母”がやってくる。かつてチェリストだった彼女はある秘密を抱えていた。
親子の葛藤と和解、友情と愛情。そして奇跡が起こる――。音楽を通して描くドラマチックな奇跡の感動物語。

『素敵な日本人』東野圭吾:一人娘の結婚を案じる父に、娘は雛人形を指差して大丈夫という。そこには亡き妻の秘密が……。(「今夜は一人で雛祭り」)独身女性のエリーが疑似子育て体験用赤ちゃんロボットを借りたところ……。(「レンタルベビー」)世にも珍しい青色の猫。多くの人間が繁殖を目論むが……。(「サファイアの奇跡」)日本人に馴染み深い四季折々の行事を題材にした4編と、異色のミステリ5編を収録!

『ギブ・ミー・ア・チャンス』荻原浩:「あたためますか?」「アイスあっためてどうすんの!」。俺はコンビニバイトの傍らネタを作り続ける。漫才でいつか天下を取るんだ!…相方はまだいないが、芸人を夢見るフリーターを描く表題作ほか、何者かになろうと挑み続ける、不器用で諦めの悪い八人の短篇集。

『キャンセルされた街の案内』吉田修一:新人社員くんの何気ない仕草が不思議に気になる、先輩女子今井さんの心の揺れ動き(「日々の春」)。同棲女性に軽んじられながら、連れ子の子守りを惰性で続ける工員青年に降った小さな出来事(「乳歯」)。故郷の長崎から転がり込んだ無職の兄が、弟の心に蘇らせたうち捨てられた離島の光景(表題作)など――、流れては消える人生の一瞬を鮮やかに刻む10の忘れられない物語。

『語られなかった皇族たちの真実』竹田常泰:祖母は明治天皇の第六皇女昌子内親王。祖父はスポーツの宮様として知られた竹田恒徳。祖母は三条実美の孫娘。著者は、明治天皇の玄孫として、旧皇族・竹田家に生まれた。本書は、自らの生い立ちに始まり、祖父から教えられたこと、さらには、皇室が2000年以上の長きにわたって存続してきた理由についての歴史を繙き、天皇家の血のスペアとして宮家が果たしてきた役割を浮き彫りにする。その上で、現在も引き続き話題を集める皇位継承問題について、「男系維持」を強く主張する。

<2019年度 新着書籍:図書館に届いた書籍の一部を紹介します>

:『日本国紀』百田尚樹:私たちは何者なのか―。神話とともに誕生し、万世一系の天皇を中心に、独自の発展を遂げてきた、私たちの国・日本。本書は、2000年以上にわたる国民の歴史と激動にみちた国家の変遷を「一本の線」でつないだ、壮大なる叙事詩である!当代一のストーリーテラーが、平成最後の年に送り出す、日本通史の決定版!

『日本国紀の副読本-学校が教えない日本史』百田尚樹、有本香:日本主体の日本通史を著した百田尚樹と、その編集で活躍した有本香が、今度は日本の教育現場で行われている歴史教育を中心に熱く語る。

『国民の歴史』西尾幹二:「新しい歴史教科書をつくる会」会長が日本の歴史を通史的に辿り、魏志倭人伝は歴史資料に値しない、平安京の落日と中世ヨーロッパ、終戦の日など、テーマ別に具体的な疑問に焦点を絞り、率直かつストレートに著した論集。

『二十世紀 上・下』橋本治:“こんな日本”になってしまった、すべてのいきさつを、正しく知りたい。二十世紀を一年ずつ、百年分のコラムで大総括。

『生きるぼくら』原田マハ:いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。その中に一枚だけ記憶にある名前があった。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」マーサばあちゃんから?人生は四年ぶりに外へ!祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた―。人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。

『ビコーズ』佐藤正午:次作を書けずにいる新人作家のぼくは、ある日、十代の頃の相棒・寺井と十年ぶりに再会する。しかし、彼は無茶な依頼を口にしたのち、ぼくの前から消えてしまった。寺井を追うほどに胸を過る十年前の忘れ得ぬ出来事と映子の姿。思いがけず始まった人捜しが、止まっていた時間を揺り動かす。若き日の恋と苦い過去が織りなす人間模様。直木賞作家の才気あふれる初期傑作!

『フェルメールの街』櫻部由美子:17世紀オランダで、陶器の名産地として栄えた港町・デルフト。父の死をきっかけに故郷へと戻った20歳のヨハネス・フェルメールは、幼馴染のレーウと再会する。学問を志すも家庭の事情で叶わなかったレーウは、かつて友と交わした約束を忘れずにいた。一方ヨハネスは、のちに妻となる女性と運命の出会いを果たす。そのころ、街では陶工が次々と姿を消して―。角川春樹小説賞受賞後第一作。美しきミステリー!

『獅子吼』浅田次郎: 「けっして瞋るな。瞋れば命を失う」父の訓えを守り、檻の中で運命を受け入れて暮らす彼が、太平洋戦争下の過酷に苦しむ人間たちを前に掟を破る時―それぞれの哀切と尊厳が胸に迫る表題作ほか、昭和四十年の日帰りスキー旅行を描く「帰り道」、学徒将校が満洲で奇妙な軍人に出会う「流離人」など華と涙の王道六編。

『江戸を造った男』伊東潤: 明暦の大火の折に材木占買で財を成した商人・七兵衛(河村瑞賢)は、海運航路整備・治水・潅漑・鉱山採掘などの幕府事業を手がけ、その知恵と胆力で難題を解決していく。新井白石をして「天下に並ぶものがいない富商」と唸らせた男の波瀾万丈の生涯を描く長編時代小説。

『さいはての彼女』原田マハ: 脇目もふらず猛烈に働き続けてきた女性経営者が恋にも仕事にも疲れて旅に出た。信頼していた秘書が手配したチケットは行き先違いで――? 女性と旅と再生をテーマにした、爽やかに泣ける短篇集。

『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』梯久美子:絶海の孤島・硫黄島で、総指揮官は何を思い、いかに戦ったのか……。妻子を気遣う41通の手紙。死にゆく将兵を「散るぞ悲しき」とうたった帝国軍人らしからぬ辞世。玉砕という美学を拒み、最期まで部下と行動を共にした指揮官のぎりぎりの胸中に迫る。

『今こそ、韓国に謝ろう そして、「さらば」と言おう』百田尚樹:・日本史上、最悪の35年間―私たちの先人は朝鮮半島で何をしたのか? 私たちの父祖が良かれと思ってしたことは、彼らにとってはすべて『余計なお節介』だったのです」(「はじめに」より)

『すぐ死ぬんだから』内館牧子:終活なんて一切しない。それより今を楽しまなきゃ。78歳の忍ハナは、60代まではまったく身の回りをかまわなかった。だがある日、実年齢より上に見られて目が覚める。「人は中身よりまず外見を磨かねば」と。

『彼女に関する十二章』中島京子:五十歳になっても、人生はいちいち驚くことばっかり―息子は巣立ち、夫と二人暮らし。パート勤務の宇藤聖子がふと手にとったのは六十年前の「女性論」。一見時代遅れの随筆と聖子の日常は不思議と響き合い、思わぬ出会いが次々と…!社会問題を織り込んで、くすりと笑える心地よさ。ミドルエイジを元気にする上質の長編小説。

『フォルトゥナの瞳』百田尚樹:「他人の死の運命」が視える力を手に入れた男は、愛する女性を守れるのか――。生死を賭けた衝撃のラストに涙する、愛と運命の物語。

『一切なりゆき 樹木希林のことば』樹木希林:「求めすぎない。欲なんてきりなくあるんですから」心に沁みる希林流生き方のエッセンス。

『花のさくら通り』荻原浩:不況にあえぐ零細広告代理店の次なるクライアントは、閑古鳥が鳴く「さくら通り商店会」。がけっぷち同士がタッグを組んで、起死回生を目指すが……。ユニバーサル広告社シリーズ第3弾。

『サブマリン』伊坂幸太郎:家庭裁判所調査官の武藤は貧乏くじを引くタイプ。無免許事故を起こした19歳は、近親者が昔、死亡事故に遭っていたと判明。また15歳のパソコン少年は「ネットの犯行予告の真偽を見破れる」と言い出す。だが一番の問題は傍迷惑な上司・陣内の存在だった!読み終えた瞬間、今よりも世界が輝いてみえる大切な物語。

『善く死ぬための身体論』内田樹、成瀬雅春:緊張と不安の時代に、「善く死ぬ」とはどういうことか? 武道、呼吸、瞑想からヒマラヤでの想像を絶する修行までさまざまなエピソードを通じて、武道家にして思想家の内田樹と、ヨーガの大家、成瀬雅春が死について縦横無尽に語り合う。

『ニワトリは一度だけ飛べる』重松清:左遷部署「イノベーション・ルーム」に異動となった酒井裕介のもとに「ニワトリは一度だけ飛べる」という題名の謎のメールが届くようになる。送り主は酒井らを『オズの魔法使い』の登場人物になぞらえて、何かメッセージを伝えようとしているようなのだが…。

『孤愁 <サウダーデ>』新田次郎・藤原正彦:ポルトガルの外交官モラエスは、明治後期に来日、日本の自然、文化、女性を愛し、その著作で、日本の素晴しさ、日本人の美徳を世界に知らしめた。父・新田次郎の未完の絶筆を息子・藤原正彦が書き継いだ力作評伝。

『リーチ先生』原田マハ:1954年、大分の小鹿田を訪れたイギリス人陶芸家バーナード・リーチと出会った高市は、亡父・亀乃介がかつて彼に師事していたと知る。──時は遡り1909年、芸術に憧れる亀乃介は、日本の美を学ぼうと来日した青年リーチの助手になる。柳宗悦、濱田庄司ら若き芸術家と熱い友情を交わし、才能を開花させるリーチ。東洋と西洋の架け橋となったその生涯を、陶工父子の視点から描く感動のアート小説。

『海の見える理髪店』荻原浩:店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが…「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は…「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。家族小説集。直木賞受賞作。

『帰郷』浅田次郎:戦後の闇市で、家を失くした帰還兵と娼婦が出会う「帰郷」、ニューギニアで高射砲の修理にあたる職工を主人公にした「鉄の沈黙」、開業直後の後楽園ゆうえんちを舞台に、戦争の後ろ姿を描く「夜の遊園地」、南方戦線の生き残り兵の戦後の生き方を見つめる「金鵄のもとに」など、全6編

『アメリカ人の本音』マックス・フォン・シュラ-:なぜアメリカは、韓国に全米で根拠のない従軍慰安婦碑設置を許すのか? 人権問題がある中国、反米運動がある韓国に甘く、日本に厳しいのか?著者のマックス氏しか書けないアメリカ人の本音を、歴史の実例を交え解説!

『虚像の道化師』東野圭吾:天才物理学者・湯川と草薙刑事のコンビが難事件を解決する、シリーズ王道の短篇集。単行『虚像の道化師』と『禁断の魔術』に収録された全8編のうち7編を、文庫版オリジナルの再編集で登場!

『失踪』小杉健治:鶴見弁護士の恩師・夏川が竹田城観光に出かけ、行方不明に。教え子たちは協力して行方を捜すが、鶴見は夏川が自ら失踪したのではないかと考える…。雲海に消えた男を描くミステリー。

『銭湯の女神』星野博美:三十を過ぎてから銭湯通いなんて、十年前には考えてもいなかった
いとしい香港から戻ってみれば、異和感のなかに生きる私がいた。銭湯とファミレスから透視した、「東京」をめぐる39の名エッセイ

『川に死体のある風景』:光射す美しい川面に、ゆらゆらと死体が流れてくる。その死体にはいったいどんなドラマと謎があったのか―。東京の玉川上水を舞台に少年同士の愛憎を描く、歌野晶午「玉川上死」。『聖域』で活躍する山岳遭難救助隊が登場する、大倉崇裕「捜索者」。『女王国の城』の前日譚、木曾の桜川での事件を江神が鮮やかに解く、有栖川有栖「桜川のオフェーリア」など六篇収録のアンソロジ

『錨を上げよ ①出航篇②座礁篇③漂流篇④抜錨篇』百田尚樹:戦争が終わってちょうど十年目、空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。破天荒な主人公が激動の昭和を駆け抜ける、著者初の自伝的ピカレスクロマン。

『コンニャク屋漂流記』星野博美:先祖は江戸時代、紀州から房総半島へ渡った漁師で、屋号はなぜか「コンニャク屋」!?祖父が遺した手記を手がかりに、東京・五反田から千葉、そして和歌山へ―時空を越えたルーツ探しの珍道中が始まる。笑いと涙の中に、家族や血族の意味を問い直す感動のノンフィクション

<2018年度 新着書籍:図書館に届いた書籍の一部を紹介します>

『サラバ!上・中・下』西加奈子:歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。

『困難な成熟』内田樹:14歳から読みたい、自由と勇気の人生案内!

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ:優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。

『せつない動物図鑑』ブルック・バーカー:112の生き物のクスッと笑えるびみょうな真実。

『鳩の撃退法 上・下』佐藤正午:かつて直木賞も受賞した作家・津田伸一は、とある地方都市で送迎ドライバーをして糊口をしのいでいた。以前から親しくしていた古書店の老人の訃報が届き、形見の鞄を受け取ったところ、中には数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千枚を超える一万円札が詰め込まれていた。ところが、行きつけの理髪店で使った最初の一枚が偽札であったことが判明。それからの葛藤、謎、事件。。。

『内田樹による内田樹』内田樹:内田樹の思想を知り、辿る上で欠かせない著作11作を著者自らが解説する。現在の日本と世界の問題を解くために重要となる一冊。
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』辻村深月:地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。

『きよしこ』重松清:少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。伝わるよ、きっと―。大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説。

『君たちはどう生きるか』吉野源三郎原作:知的好奇心旺盛な少年「コペル君」と、彼を亡き父親の代わりに見守る教養ある「おじさん」。そんなふたりの心温まるやりとりを通じて、生きる意味を平易に、深く説いた児童向け教養小説の古典を初めてマンガ化

『若冲』澤田瞳子:伊藤若冲は、妻を亡くしてからひたすら絵に打ち込み、やがて独自の境地を極めた。若冲を姉の仇と憎み、贋作を描き続ける義弟・弁蔵との確執や、池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁らとの交流、また当時の政治的背景から若冲の画業の秘密に迫る。

『長いお別れ』』中島京子:かつて中学の校長だった東昇平はある日、同窓会に辿り着けず、自宅に戻ってくる。認知症だと診断された彼は、迷い込んだ遊園地で出会った幼い姉妹の相手をしたり、入れ歯を次々と失くしたり。妻と3人の娘を予測不能なアクシデントに巻き込みながら、病気は少しずつ進行していく。あたたかくて切ない、家族の物語。

『ジヴェルニーの食卓』原田マハ:ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。(「ジヴェルニーの食卓」)新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。

『知性の顚覆 日本人がバカになってしまう構造』橋本治:この国にはもはやほんものの知性は存在しないのか? 吹き荒れる「反知性主義」の実態は、思想ではなく単なる気分に過ぎないと看破し、世界が壊れゆく歴史的転換を柔らかに読み解く。

『ある町の高い煙突』新田次郎:明治38(1905)年、買収によって茨城の地に開業した日立鉱山。やがて鉱山の宿命ともいえる煙害が発生。亜硫酸ガスが山を枯らし、農民たちの命である農作物までも奪っていく。そこで、立ち上がったのが地元の若者・関根三郎(モデルとなった実際の人物は関右馬允)である。地元住民たちと日立鉱山との苦闘のドラマが幕を開ける

『家族シアター』辻村深月:真面目な姉を鬱陶しく思う妹。趣味で反発し合う姉と弟。うまく息子と話せない父。娘の考えていることが理解できない母……あなたの家族もこの中に。家族を描く、心温まる全7編。

『ラオスにいったい何があるというんですか?』村上春樹:旅をしている人にだけ見えてくる風景がある。そこには特別な光があり、特別な風が吹いている――ボストンの小径とボールパーク、アイスランドの自然、「ノルウェイの森」を書いたギリシャの島、フィンランドの不思議なバー、ラオスの早朝の僧侶たち、ポートランドの美食やトスカナのワイン、そして熊本の町と人びと――旅の魅力を描き尽くす、村上春樹、待望の紀行文集。「熊本再訪」初収録。

『明日の子供たち』有川浩:想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている! 児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。

『祈りの幕の下りる時』東野圭吾:明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。吉川英治文学賞受賞作。

『よろこびの歌』宮下奈都:著名なヴァイオリニストの娘で、声楽を志す御木元玲は、音大附属高校の受験に失敗、新設女子高の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。しかし、校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる―。見えない未来に惑う少女たちが、歌をきっかけに心を通わせ、成長する姿を美しく紡ぎ出した傑作。

『終わった人』内館牧子:大手銀行の出世コースから子会社に出向、転籍させられ、そのまま定年を迎えた田代壮介。仕事一筋だった彼は途方に暮れた。生き甲斐を求め、居場所を探して、惑い、あがき続ける男に再生の時は訪れるのか?ある人物との出会いが、彼の運命の歯車を回す―。日本中で大反響を巻き起こした大ヒット「定年」小説!

『脳には妙なクセがある』池谷裕二:コミュニケーション最強の武器となる笑顔は、“楽しい”を表すのではなく、笑顔を作ると楽しくなるという逆因果。脳は身体行動に感情を後づけしているのだ。姿勢を正せば自信が持てるのもその一例。背筋を伸ばして書いた内容のほうが、背中を丸めて書いたものよりも確信度が高いという─。とても人間的な脳の本性の「クセ」を理解し、快適に生きるため、気鋭の脳研究者が解説する最新知見!

『村上さんのところ』村上春樹:春樹さん、こんなことも聞いていいですか? 世界中から集まった質問は何と 3 万7465通。恋愛・人間関係・仕事など悩ましい人生のモンダイから小説の書き方、音楽や映画、社会問題、猫やスワローズまで、怒濤のメール問答は119日間、閲覧数1億PVに及んだ。可愛くてちょっとシュールなフジモトマサルのイラストマンガを多数加え、笑って泣いて励まされる選りすぐりの473通を収録

『あの家に暮らす四人の女』三浦しをん:ここは杉並の古びた洋館。父の行方を知らない刺繍作家の佐知と気ままな母・鶴代、佐知の友人の雪乃(毒舌)と多恵美(ダメ男に甘い)の四人が暮らす。ストーカー男の闖入に謎の老人・山田も馳せ参じ、今日も笑いと珍事に事欠かない牧田家。ゆるやかに流れる日々が、心に巣くった孤独をほぐす同居物語。織田作之助賞受賞作。

『芭蕉紀行』嵐山光三郎:『野ざらし紀行』『冬の日』『笈の小文』『奥の細道』はもちろん、従来の案内書にはない『かしま紀行』『更科紀行』ゆかりのスポットも完全網羅。中学三年で芭蕉の言霊にふれ、自らも「旅を栖」とする著者が、足と目と感性で俳聖の全足跡を辿る。研究者のあいだではタブー視されている、蕉翁の衆道にも踏み込んだ稀有な書。沿道の美味な食べ物も紹介。

『スピンク日記』町田康:私はスピンクといいます。プードルです。小説家の主人・ポチや美徴さん、キューティー・セバスチャンやたくさんの猫たちと一緒に暮らしています。「犯人だー」と叫んで一緒に駆け回り、安物買いの暖房器具で寒い思いをし、ときに「文学の鬼になる」と言い出す主人と私たちの楽しい毎日について申し上げます。

『いとしのヒナゴン上・下』重松清:謎の類人猿ヒナゴンが目撃されてから三十数年。昭和の記憶と思われていた怪物騒動がふたたび甦った!伝説の悪ガキ「イナゴのイッちゃん」を町長にいただく比奈町は、さっそく類人猿課を再設置したが、目撃情報をよせる地元の老人たちはヒナゴンより孫代わりの話し相手が欲しいらしく…。ハートウォーミングな痛快長篇小説

『散り椿』葉室麟:かつて一刀流道場四天王の一人と謳われた瓜生新兵衛が帰郷。おりしも扇野藩では藩主代替りを巡り側用人と家老の対立が先鋭化。新兵衛の帰郷は藩内の秘密を白日のもとに曝そうとしていた―傑作長編時代小説!

『夜叉桜』あさのあつこ:江戸の町で女が次々と殺された。北定町廻り同心の木暮信次郎は、被害者が挿していた簪が小間物問屋主人・清之介の「遠野屋」で売られていたことを知る。因縁ある二人が再び交差したとき、事件の真相とともに女たちの哀しすぎる過去が浮かび上がった。生きることの辛さ、人間の怖ろしさと同時に、人の深い愛を『バッテリー』の著者が満を持して描いたシリーズ第二作。

『聖女の救済』東野圭吾:資産家の男が自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれていることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが…。驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作。

『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎:「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。その管理下、住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの「正義の味方」、ただ一人。ディストピアにほとばしるユーモアとアイロニー。

『翻訳者の仕事部屋』深町眞理子:作品ごとに異なる人生を生きる。原作の息吹を自分の言葉を使って伝える。訳者は「役者」なのだ。手がけた翻訳は200冊以上。とにかく本が好き、人前に出るのは嫌い。考古学者のようにあれこれ調べて推理して、答えを掘りあてたときは、こたえられない。そんな翻訳稼業のあれこれを語る、待望のエッセイ。

<2017年度 新着書籍:図書館に届いた書籍の一部を紹介します>

『クライマーズ・ハイ』横山秀夫:1985年の日航機墜落事故で地元「北関東新聞」の全権デスクを任された主人公の一週間を描いている。この小説の面白さの大きな要素は、職業として社会、世界と対峙する新聞記者という職業の特殊性だろう。“人の死”さえも仕事と割り切り、書き、捌き、紙面に落とし込んでいかなくてはならない職業。

『米国人弁護士だから見抜けた日本国憲法の正体』ケント・ギルバート:安倍首相がロードマップを引いたことで、憲法改正は国民にとって最大の争点となるだろう。日本人よりも日本の歴史と政情に精通した米国人弁護士が、日本国憲法の出生秘話や世界の憲法事情を踏まえて改憲論争の核心を語る。

『思想する住宅』林望:固定観念を打ち破って、自分で考える理想の家。マイホームは北向きに限る? 和室は不要? リンボウ先生が、自身の経験やイギリスでの見聞から、理想の家について縦横無尽に語る!

『うつくしい人』西加奈子:他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書室で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた。

『ファシスタたらんとした者』西部邁:「戦後」の無惨と虚無に対峙し続けたファシスモが、己の人生の全域を剔出した最後の巨編。懐疑と省察、冒険への意志が導いた思想の堂奥とは。皇室論・信仰論を付す。

『ジャンプ』佐藤正午:その夜、「僕」は、奇妙な名前の強烈なカクテルを飲んだ。ガールフレンドの南雲(なぐも)みはるは、酩酊(めいてい)した「僕」を自分のアパートに残したまま、明日の朝食のリンゴを買いに出かけた。「五分で戻ってくるわ」と笑顔を見せて。しかし、彼女はそのまま姿を消してしまった。「僕」は、わずかな手がかりを元に行方を探し始めた。失踪をテーマに現代女性の「意志」を描き、絶賛を呼んだ傑作!

『きみは誤解している』佐藤正午:婚約者と競輪、どちらを取るか?(「きみは誤解している」)。金をかけずに競輪を楽しむ男の物語(「人間の屑」)他、競輪にかける人間たちの悲喜こもごものドラマを描く短編集。

Story Seller 2』新潮社ストーリーセラー編集部編:沢木耕太郎ほか6人の作家の作品集。読み応えは長編並、読みやすさは短編並。著作リストも完備して、新規開拓のガイドとしても最適。

『花咲舞が黙ってない』池井戸潤:その日、東京第一銀行に激震が走った。頭取から発表されたライバル行との合併。生き残りを懸けた交渉が進む中、臨店指導グループの跳ねっ返り・花咲舞は、ひょんなことから「組織の秘密」というパンドラの箱を開けてしまう。隠蔽工作、行内政治、妖怪重役…このままでは我が行はダメになる!花咲舞の正義が銀行の闇に斬り込む痛快連作短篇。

『蜜蜂と遠雷』恩田陸:ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。

『子どもへのまなざし』佐々木正美:子どもにとっての乳幼児期は、人間の基礎をつくるもっとも重要な時期。児童精神科医の著者が、臨床経験をふまえて乳幼児期の育児の大切さを語る、育児に関わる人の必読書。

『ふんわり穴子天』坂井希久子:小禄旗本の次男坊・林只次郎は、満開の桜の下で得意客である大店の主人たちと、一方的に憧れている居酒屋「ぜんや」の別嬪女将・お妙が作った花見弁当を囲み、至福のときを堪能する。しかし、あちこちからお妙に忍びよる男の影が心配で…。桜色の鯛茶漬け、鴨と葱の椀物、精進料理と、彩り豊かな料理が数々登場する傑作人情小説第二巻。

『ワーキング・ホリデー』坂木司:初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変!突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で…!?ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。

『ぼくのメジャースプーン』辻村深月:ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。

:『大放言』百田尚樹:思ったことや軽いジョークを口にしただけで、クレーム、バッシングの嵐。求められるのは人畜無害な意見ばかり。こんな息苦しい世に誰がした?数々の物議を醸してきた著者が、ズレた若者、偏向したマスコミ、平和ボケの政治家たちを縦横無尽にメッタ斬り。炎上発言の真意から、社会に対する素朴な疑問、大胆すぎる政策提言まで、思考停止の世間に一石を投じる書下ろし論考集

『困難な結婚』内田樹:結婚しておいてよかったとしみじみ思うのは「病めるとき」と「貧しきとき」。結婚というのは、そういう人生の危機を生き延びるための安全保障。結婚前の人は、したくなる。結婚している人は、気楽になる。

『首折り男のための協奏曲』伊坂幸太郎:被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。

ちいさな絵童話『あらしのよるに』『くものきれまに』『あるはれたひに』木村裕一: あらしのよるに逃げ込んだちいさな小屋の暗闇の中、2匹の動物が出会う。風邪をひいて鼻のきかない2匹は、お互いがオオカミとヤギ、つまり「食うもの」と「食われるもの」であることに気付かない。すっかり意気投合したヤギとオオカミは、翌日のお昼に会う約束をする。合言葉は、「あらしのよるに」。

『本日は、お日柄もよく』原田マハ:OLが選挙のスピーチライターに! ? 言葉のもつ限りない可能性をハートフルに描いた青春小説。スピーチの極意もお教えします!

ちいさな絵童話『きりのなかで』『どしゃぶりのひに』『ふぶきのあした』木村裕一:『あらしのよるに』『あるはれたひに』『くものきれまに』に続くヤギとオオカミのおはなし。ガブとまちあわせたのに、なかなかあえないメイ。きりのなかから、べつのオオカミのめがひかる……。

『女人源氏物語』瀬戸内寂聴:比類なき美貌と知性を合せ持つ宮廷一の貴公子、光源氏とさまざまな女人たちの恋物語。千年の時を超え読みつがれる華麗なる王朝絵巻「源氏物語」。とばりの奥深く秘められた、愛の恍惚と苦悩を、女人たち自身のモノローグで紡ぎ出す鮮烈な「瀬戸内源氏」の世界。

『職業としての小説家』村上春樹:「村上春樹」は小説家としてどう歩んで来たか―作家デビューから現在までの軌跡、長編小説の書き方や文章を書き続ける姿勢などを、著者自身が豊富な具体例とエピソードを交えて語り尽くす。文学賞についてオリジナリティーとは何か、学校について、海外で翻訳されること、河合隼雄氏との出会い…読者の心の壁に新しい窓を開け、新鮮な空気を吹き込んできた作家の稀有な一冊。

『騎士団長殺し第1部、第2部』村上春樹:その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。

『あおい』西加奈子:26才スナック勤務の「あたし」と、おなかに「俺の国」地図を彫っている4才年下のダメ系学生風間くんと、ペット亀の「バタ」のほわほわ脱力気味の同棲生活から一転、あたしはリセットボタンを押すように、気がつけばひとり深夜長野の森にいた。表題作を含む3編収録した『さくら』著者のデビュー作。

『シンメトリー』誉田哲也:百人を超える死者を出した列車事故。原因は、踏切内に進入した飲酒運転の車だった。危険運転致死傷罪はまだなく、運転していた男の刑期はたったの五年。目の前で死んでいった顔見知りの女子高生、失った自分の右腕。元駅員は復讐を心に誓うが…(表題作)。ほか、警視庁捜査一課刑事・姫川玲子の魅力が横溢する七編を収録。警察小説No.1ヒットシリーズ第三弾。

『総理の夫』原田マハ:相馬凛子(そうま・りんこ)は42歳の若さで第111代総理大臣に選出された。
鳥類学者の夫・日和(ひより)は、「ファースト・ジェントルマン」として妻を支えることを決意。妻の奮闘の日々を、後世に遺すべく日記に綴る。税制、原発、社会福祉。混迷の状況下、相馬内閣は高く支持されるが、陰謀を企てる者が現れ……。凛子の理想は実現するのか!?

『抱擁、あるいはライスに塩を 上・下』江國香織:東京・神谷町の洋館に三世代で暮らす柳島家。子供たちを学校にやらないという教育方針だが、四人の子供のうち、二人が父か母が違うなど、様々な事情を抱えていた。風変わりな一族の愛と秘密を描く傑作長編。

『りんごかもしれない』『このあとどうしちゃおう』ヨシタケシンスケ:ひとつのりんごをめぐって、次から次へと繰り広げられる、不思議でユニークな世界。
見方を変えれば、りんごひとつで無限に遊べる。発想力で楽しく豊かに過ごす方法がぎっしりつまった絵本。

SOSの猿』伊坂幸太郎:三百億円の損害を出した株の誤発注事件を調べる男と、ひきこもりを悪魔秡いで治そうとする男。奮闘する二人の男のあいだを孫悟空が自在に飛び回り、問いを投げかける。「本当に悪いのは誰?」はてさて、答えを知るのは猿か悪魔か?そもそも答えは存在するの?面白くて考えさせられる、伊坂エンターテインメントの集大成。

にこにこ貧乏山本一力:名曲「天城越え」の日本語の力に圧倒され、息子の大怪我で福祉の有難さを知る。上京して初めて食べた思い出の十円鮨、築地魚河岸場内の極上トースト、富山の超特大オムライス…取材に講演旅行に日本中を駆け巡る人気時代小説家が出会った、旨いものと人情、カミさんと息子たちとの大騒ぎな日常を本音で綴る爽快エッセイ集。

Comments are closed.